2026/08/17 ・ 大洲と読書
『一生迷わないお金の選択』を読みました。「不安から出発すると、お金はいくらあっても足りなくなる」 「若い頃の一見ムダに思える支出も、人間としての糧になる」という価値観のメモが印象的でした。
2ページ目は「SNSを使った投資詐欺」への警告でした。「年30%で回る商品が実はある」という誘い文句に対して、「この地球上にそんなオイシイ話はない」ときっぱり。
被害総額2271億円、LINE経由の接触が88.6%という統計を、強い警戒感とともに書き写していました。
「この地球上にそんなオイシイ話はない」と言い切るのは、本を読んでいるときは簡単です。実際に誘われている最中の人が、その一言をどこで浴びられるか。大洲の相談窓口を調べてみました。
大洲市の消費生活センターは、平成21年度に、西予市・内子町と3市町合同で設置されました。 単独ではありません。理由は市議会の記録にはっきり書かれていて、愛媛県の相談窓口が平成18年度から閉鎖されたためです。県が引いたあと、多重債務を抱える人が全国で200万人を超えると言われるなかで、市町村の側に窓口を置く必要が出てきました。
合同なので、相談員は3市町を曜日で分けて回ります。大洲市は火曜日と金曜日、西予市は月曜日と木曜日、内子町は水曜日という割り振りでした。相談員には経済産業大臣認定の消費生活アドバイザーの資格を持つ人を県から推薦してもらい、庁舎内に専用の電話回線を引いて、プライバシーに配慮した対応をする、という説明です。
| 相談日 | |
|---|---|
| 大洲市 | 火曜・金曜 |
| 西予市 | 月曜・木曜 |
| 内子町 | 水曜 |
「オイシイ話」を持ちかけられた人が、その場で誰かに確かめられる日は、大洲では週に2日です。 相談員が不在の日は職員が対応し、他市町の相談日でも電話でつなぐ体制にする、とも答弁されています。
数字も1つ残っていました。平成22年度の11月末時点で、消費生活センターへの相談は94件。そのうちマルチ商法についての相談が11件です。
同じ議会で、市はマルチ商法の被害防止策も説明しています。臨時職員2名が、70歳以上の独居高齢者宅などを1軒ずつ訪ねてチラシを配る。 大洲地域は平野・大川を除く全域を回り終え、その後は長浜・肱川・河辺へ回る予定だ、と。啓発講座は11月末までに10回開いていました。
平成27年の議会では、特殊詐欺の防止のために地域包括支援センターと連携して高齢者宅を訪問し、寸劇による啓発まで行っていることが報告されています。市内の犯罪認知件数は、合併した平成17年の532件から平成26年の313件へ、約41パーセント減っていました。
本書が警告していたのはSNS経由の投資詐欺で、被害総額2271億円のうちLINE経由の接触が88.6パーセントという数字です。戸別訪問と寸劇で届く相手と、LINEで近づかれる相手は、たぶん重なっていません。 大洲がこれまで積み上げてきた対策は高齢者への直接訪問が中心で、そこは丁寧です。届き方が変わったときに窓口の形も変わったのかどうかは、会議録をさかのぼった範囲では確かめられませんでした。 直近の年度の相談件数も、公表された会議録のなかには見つけられていません。
SNS投資詐欺の被害は、都市部だけの話ではありません。地方でも、LINEなどを通じた勧誘は同じように届きます。
むしろ、身近な人からの紹介という形で広がりやすい分、地方の方が警戒しづらい面もあるかもしれません。
大洲のような地域でこそ、「オイシイ話には裏がある」という基本的な金融リテラシーを、もっと気軽に 共有できる場があればいいと思いました。