大洲の暮らし ・ 出典: 大洲市役所 ・ 約16分で読める
「健康はあまりよくない」と答えた人が、全国より多いんよ。
ただ答えた人が高齢寄りだから、そのまま比べるのは注意ね。
健診に行かない理由の1位は「面倒くさい」だった。
3行でいうと調べた資料 23本
「大洲市健康づくり及び健康寿命延伸に関するアクションプラン」(令和3年9月策定)の基礎資料になった市民アンケートが具体的で面白かった。
20歳以上を無作為抽出し、配布3,994票・回収1,786票(回収率44.7%)というそれなりの規模の調査だ。
調べていて一番驚いたのは、ここだった。大洲市は、自分の市の健康寿命を出せない。
アクションプランの本体にはっきり書いてある。国が使う健康寿命の指標「日常生活に制限のない期間の平均」は国民生活基礎調査がもとになっていて、3年ごとにしか出ず、大洲市単位での算出が困難。
国が補完指標としている「日常生活動作が自立している期間の平均」は毎年出せるものの、2次医療圏域(八幡浜・大洲圏域)でしか数値化できない。
その圏域の数字(令和2年)はこうなっている。男性は国79.8年・愛媛県79.4年に対して八幡浜・大洲圏域79.1年。
女性は国84.0年・愛媛県83.9年に対して84.3年。男性はわずかに低く、女性はわずかに高い、という位置。
そして市は、この圏域の数字はあくまで補完指標として扱い、市民アンケートの結果を「大洲市の現状」として捉えると明記している。
つまりこのアンケートは、単なる参考資料ではなく、大洲市が健康寿命の代わりに見ているものさしそのものだった。それなら中身を見てみたくなる。
健康状態の自己評価は「あまりよくない」16.7%、「よくない」5.2%。
報告書はこれを全国平均(10.9%、1.7%)と比べて「いずれも高い割合」としている。
この全国平均は厚生労働省の「令和元年度 国民生活基礎調査」(2019年)の数字だと、報告書の脚注に書かれていた。
ただし、この比較はそのまま受け取らないほうがいいと思う。回答者の年齢構成を見ると、70~74歳が19.4%、75歳以上が16.9%で、70歳以上だけで36.3%を占めている。
全国調査より回答者が高齢に寄っていれば、「健康がよくない」と答える割合が高くなるのは自然な話でもある。
一方で幸福度は「とても幸せ」12.7%、「まあまあ幸せ」68.9%と8割以上。
健康状態がよい人ほど幸せと答える割合も高く、健康と幸福度が地続きになっていることが数字からも見て取れる。
幸せを感じる要因(優先度が高いもの3つ)は、家族・友人83.2%、健康75.9%、お金44.2%、趣味38.1%の順。
大洲でも「お金より人とのつながり」という価値観が数字に出ている。
生活習慣では、運動を『していない』が34.6%(20~59歳の働き盛り世代では4割超)。
「大洲市の食材の使用日数」は「週6~7日」33.6%に対し「わからない」も18.6%あり、特に20~39歳で最多。
地産地消は、意識してもらうこと自体が最初のハードルなんだなと感じた。
健康情報の入手先は、テレビ65.1%、家族や友人47.9%、インターネット43.8%、新聞・雑誌39.2%の順。市の広報誌は19.2%で、順位でいうと6番目だった。
ただし20~49歳に限るとインターネット・SNSが約8割に達し、世代で情報の届け方を変える必要性がはっきり出ている。
OZU LIFE MEMOも、この「若年層への届けにくさ」を埋める選択肢になれたらと思う。
市の健康施策への期待(上位3つを選択)は、この順だった。
健診を受けない理由の1位は「面倒くさい」35.6%だった。体制の充実だけでなく、 面倒さを減らす設計面の工夫も要りそうだと感じた。
ここまで課題ばかり並べてしまったので、公平のために書いておくと、悪い数字だけではなかった。
健診の受診率は全国的な受診率69.6%とほぼ同程度で、報告書は「高い受診率」と評価している。
喫煙率も、令和元年度の国の調査16.7%に対して大洲市は13.3%と低い。
アンケートの数字は、読み方しだいで「大洲は不健康」にも「大洲は悪くない」にも見える。
市が健康寿命の代わりにこのアンケートを見ている以上、どこを課題として拾うかの選び方自体が、そのまま施策の方向を決めることになるんだと思う。
この記事が読んだのは令和3年9月策定のアクションプランとその基礎になったアンケートである。 市議会の会議録を調べたら、その先があった。
令和7年3月の定例会で、市が高齢者の健康づくりについて答弁する中で、 「昨年度策定した第3次大洲市健康づくり計画に沿って、 総合的に高齢者の健康づくりに関する施策を展開してまいりたい」と述べている。
令和6年度に、新しい計画ができている。 この記事で見た数字は、その1つ前の段階の資料だったことになる。 健康寿命を市単独で出せないという事情が変わったかどうかは、 公開されている資料からは確かめられなかった。
同じ答弁に、市がいま実際にやっている取組が列挙されていた。 アンケートの数字だけ見ていても分からない部分なので、そのまま並べておく。
| 取組 | 中身 |
|---|---|
| 介護予防サークル | 介護予防運動に取り組むサークルへ助成金 |
| フレイル予防 | 専門的な講師を派遣し、運動・栄養・口腔の観点から支援 |
| サロン活動 | 集い・通いの場へ助成金。閉じ籠もり防止と仲間同士の見守りにつながっている |
| 在宅介護支援センター | 市内4か所に業務委託で相談窓口 |
| 生きがいづくり事業 | 教養・趣味講座、体操、ヨガ教室 |
| 高齢者の保健事業 | 健診結果にもとづく個別支援と健康相談 |
| 老人クラブ | スポーツ大会などの事業・活動助成 |
市はこれを「組織横断的に進めている」と説明していた。 健診を受けない理由の1位が「面倒くさい」だったこの記事の話と並べると、 市の側は「来てもらう」入口をかなり増やしていることが分かる。
同じ議会で、もっと生活に近い話も出ていた。 総合体育館でやっている健康教室が、令和7年度から年会費制になったという件である。
きっかけは、市の説明によれば人気だったことだった。 「定員を超えるほど人気があり、受講生から定員や回数を増やしてほしいとの要望を受けておりました」。
| 教室 | 定員 | 回数 |
|---|---|---|
| からだすっきり体操教室 | 30名 → 60名 | 8回 → 22回 |
| ステップエクササイズ教室 | 20名 → 40名 | 8回 → 22回 |
定員は2倍、回数は2.75倍。 その代わりに年会費5,000円を負担してもらうことにした、という説明だった。 理由は「受益者負担の公平性を考慮して」である。
市は「1回当たり200円程度の御負担」と説明していた。 22回で5,000円なら、実際には1回あたり約227円になる(自分で割った)。 いずれにしても、それまで無料だったものが有料になったことに変わりはない。
回数が3倍近くになるのと、年5,000円かかるようになるのと、 どちらを重く感じるかは人によると思う。 このアンケートで「健康はあまりよくない」と答えた層に、 この変更がどう届いたのかは、次のアンケートを見ないと分からない。
最後に、この記事の主題だった「健康状態の自己評価」に、 別の角度から重なる数字を書いておきたい。
令和7年12月の定例会で、市が自殺対策について答弁している。 令和元年から令和5年までの5年間で、市内で自殺で亡くなった方は男性23人・女性7人。 それを人口10万人あたりに直すと、こうなる。
| 層 | 大洲市 | 全国平均 |
|---|---|---|
| 40歳代の男性 | 54.0人 | 27.1人 |
| 70歳代の女性 | 24.9人 | 12.4人 |
どちらも、全国平均のちょうど2倍前後である。 原因や動機で最も多いのは健康問題が37.5%で、 次が経済・生活問題、家庭問題と続く。 ただし原因不詳が約3割を占めている、とも述べられていた。
相談の窓口の数も出ていた。 社会福祉協議会の「心配ごと相談」が年間200件前後、 保健師による「こころの相談」が年間延べ30件程度。
このアンケートで「健康状態があまりよくない」が16.7%という数字が出た。 回答者が高齢寄りだから割り引いて読むべきだ、とこの記事では書いた。 それはそのとおりだと思う。 ただ、同じ市の別の統計では、40歳代の男性という、 アンケートの回答者にはあまり含まれていなさそうな層に、 全国の2倍という数字が出ている。
健康寿命を市単独で出せないから、アンケートをものさしにする。 そのアンケートに答えるのは、比較的時間のある人たちである。 ものさしに載らない人のほうが、数字が悪いことがある。 それがこの記事を書き足していて、いちばん引っかかったところだった。
先に結論を書く。大洲市は、この200件の内訳を数字では公表していない。
ただし、手がかりはある。市議会の会議録に、分類の名前だけは出てくる。
平成24年12月の定例会で、市はこう答弁している。心配ごと相談所設置事業では平成23年度に477件の相談を受けた。その中身は「生計、年金、家族、財産、人権、法律など」である。
同じ答弁には、その477件をどう処理したかも出ている。
| 処理の結果 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 解決した | 287件 | 60.2% |
| 他の相談機関や部署に紹介した | 141件 | 29.6% |
| 継続している事案 | 37件 | 7.8% |
割合は477で割って自分で計算した。合計は465件で、477との差12件は答弁に説明がない。
3割近くが、他の機関や部署へ回されている。 心配ごと相談は、解決する場所であると同時に、行き先を決める場所でもあったことになる。
そして、平成23年度の477件は、令和5年度には207件になっている。
令和6年9月の定例会で、市は心配ごと相談所の令和5年度実績を延べ207件と答えた。12年で56.6%減である(自分で割った)。同じ答弁では、相談の中身として「亡くなった後に入るお墓の相談や相続、遺言に関する相談など」が挙げられていた。
一方で、同じ答弁に出てくる地域包括支援センターの総合相談は、令和5年度で延べ653件。心配ごと相談の3倍以上ある。高齢者の相談は、そちらに流れているとみてよさそうだ。
相談の中身をもう少し具体的に示すものが、社協の側にある。大洲市社協は2026年10月2日に「困りごとまるごと相談会」を開く。社協だよりの告知に「こんなお悩みありませんか?」として並んでいるのが、次の4つだ。
借金があり家計のやりくりが難しい/認知症になったらお金の管理が心配/コロナ特例貸付の償還が難しい/生活保護について聞きたい
4つとも、お金の話である。 統計が無くても、受ける側が何を想定しているかは、ここにはっきり出ている。
なぜお金に寄るのか。法律の側の書き方を読むと、腑に落ちる。
心配ごと相談所は、社会福祉法上の第二種社会福祉事業として位置づけられている。その条文(第2条第3項第1号)はこう書かれている。「生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業」。
看板は「心配ごと」で、何でも聞いてくれそうに見える。だが法律が想定しているのは「生計困難者」である。 入口の広さと、制度の出自が、そもそもずれている。
始まりは古い。豊橋市社会福祉協議会は、自分のところの心配ごと相談所を「第2種 豊橋市心配ごと相談所(昭和35年10月1日開始)」と書いている。熊野市の市史年表には昭和34年の開設が記録されている。昭和30年代の半ばに、各地で立ち上がった仕組みらしい。ただし全国での開始年や、もとになった国の通知までは、公開されている範囲では突き止められなかった。
大洲市の内訳が出てこないなら、分類がそろっている統計を横に置くしかない。
使えるのは、厚生労働省の「福祉行政報告例」にある民生委員(児童委員)の相談・支援件数である。心配ごと相談とは別の窓口だが、地域で悩みを受け止める入口という点では近い。しかも、相談の中身が14分類で数えられている。
大洲市には民生児童委員が163人いる(平成24年12月の答弁時点)。他人事の数字ではない。
令和6年度の数字を、全国と愛媛県で並べる。
| 相談の内容 | 全国 | 全国の割合 | 愛媛県 | 愛媛の割合 |
|---|---|---|---|---|
| その他 | 1,425,391 | 29.5% | 17,728 | 31.9% |
| 日常的な支援 | 1,243,312 | 25.8% | 12,952 | 23.3% |
| 子どもの地域生活 | 478,601 | 9.9% | 4,896 | 8.8% |
| 健康・保健医療 | 308,696 | 6.4% | 3,690 | 6.6% |
| 在宅福祉 | 290,946 | 6.0% | 3,695 | 6.6% |
| 子どもの教育・学校生活 | 273,411 | 5.7% | 3,695 | 6.6% |
| 生活環境 | 238,742 | 4.9% | 2,868 | 5.2% |
| 介護保険 | 127,475 | 2.6% | 1,364 | 2.5% |
| 家族関係 | 119,410 | 2.5% | 1,333 | 2.4% |
| 子育て・母子保健 | 114,462 | 2.4% | 1,285 | 2.3% |
| 生活費 | 83,651 | 1.7% | 737 | 1.3% |
| 住居 | 72,902 | 1.5% | 794 | 1.4% |
| 仕事 | 28,828 | 0.6% | 305 | 0.5% |
| 年金・保険 | 20,593 | 0.4% | 242 | 0.4% |
| 総数 | 4,826,420 | 100% | 55,584 | 100% |
割合はすべて総数で割って自分で計算した。
この表を読む前に、ひとつ確かめたことがある。全国の4,826,420件は、47都道府県の合計3,056,317件と、指定都市・中核市の合計1,770,103件を足すとぴったり一致した。 つまり県の行に中核市は入っていない。
愛媛県の中核市は松山市だけである。だからここに出ている「愛媛県 55,584件」は、松山市を除いた愛媛県の数字だ。大洲市が入るのは、こちら側である。
そのうえで、この表から言えることが3つある。
ひとつめ。「その他」と「日常的な支援」だけで、全国55.3%、愛媛55.2%を占める。 14に分けたはずの分類の、半分以上が中身の分からない箱に入っている。相談の中身が数字で分かる、とは言い切れない理由が、この表そのものに出ている。
ふたつめ。お金と仕事の相談は、件数では驚くほど少ない。 生活費・年金保険・仕事の3つを足しても、全国で133,072件、愛媛で1,284件。全体の2.8%と2.3%にしかならない(自分で足して割った)。社協が「困りごとまるごと相談会」で想定していた4つのお悩みと、ここは正反対に見える。深刻さと件数は比例しない、ということかもしれない。
みっつめ。愛媛と全国の差である。 分野別で見ると、愛媛は子どもに関することが25.4%で、全国の21.3%より4ポイント高い。逆に障害者に関することは2.9%で、全国の4.0%より低い。高齢者に関することは愛媛55.3%、全国56.7%とほぼ同じだった。
もうひとつ、愛媛の数字で目を引いたものがある。民生委員の欠員の少なさだ。
| 定数 | 年度末現在数 | 欠員 | 欠員率 | |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 240,567人 | 228,473人 | 12,094人 | 5.03% |
| 愛媛県(松山市を除く) | 2,646人 | 2,635人 | 11人 | 0.42% |
| 松山市 | 1,006人 | 992人 | 14人 | 1.39% |
欠員と欠員率は自分で計算した。全国では20人に1人が欠けているのに、松山市を除く愛媛県では240人に1人しか欠けていない。
なお、1人あたりの年間相談・支援件数は、全国が21.1件、愛媛(松山市を除く)も21.1件で、ほぼ同じだった。人数はきちんと埋まっているが、1人が受ける量は全国並みということになる。
そしてもうひとつ。愛媛県(松山市を除く)の民生委員の訪問回数は375,058回ある。相談55,584件の6.7倍だ(自分で割った)。待って聞く仕事より、出かけていく仕事のほうが、数の上では6倍以上ある。
答えを先に書く。大洲市総合福祉センターで、週4日、誰かが相談を受けている。予約は要らない。無料である。
困っている当人に要るのは、統計ではなく場所と曜日と電話番号だ。社協だよりの最新号(2026年9月号)に載っている案内を、そのまま表にする。
| 会場 | 相談の種類 | 曜日・日 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 本所(大洲市総合福祉センター) | 一般相談 | 毎週月・水曜日 | 13:00〜16:00 |
| 同上 | 介護相談 | 毎週金曜日 | 10:00〜16:00 |
| 同上 | 司法書士等法律相談 | 毎週木曜日ほか | 10:00〜16:00 |
| 同上 | 弁護士法律相談 | 月2回 | 10:00〜15:00 |
| 長浜支所(大洲市役所長浜支所) | 一般相談 | 月1回 | 13:00〜16:00 |
| 肱川支所(肱川地区複合公共施設) | 一般相談 | 月1回 | 13:30〜16:30 |
| 河辺支所(河辺老人福祉センター) | 一般相談 | 月1回 | 9:00〜12:00 |
問い合わせは大洲市社会福祉協議会(0893-23-0313)、本所の相談室直通は0893-23-5629。祝日は除く。支所の相談日は月ごとに動く。 上の表の曜日は、そのまま翌月に当てはまるものではない。最新の日程は社協だよりの最終ページに毎号載っている。
大事な点をふたつ。まず、予約は要らない。 社協は「心配ごと相談は事前予約の必要はありません(弁護士法律相談を除く)。相談日に直接会場にお越しください」と書いている。
そして、無料である。
弁護士相談だけは決まりが細かい。相談日の前週の火曜日までに予約が要り、相談時間は20分。申し込み順に午前の最初の枠から埋まっていく。担当は弁護士事務所2か所の輪番制だ。
表を眺めていて気づくことがある。本所は週4日開いているが、長浜・肱川・河辺はそれぞれ月1回である。
月あたりに直してみた。週4日は1か月でおよそ17日になる(4日×約4.3週で計算した)。支所は1日。同じ市の中で、相談できる日が17対1になっている。
心の不調や自殺に関わる相談は、窓口が別になる。令和7年12月の定例会で、市民福祉部長がこう答えている。「心の病気あるいは精神保健に関する相談に関しましては、健康増進課のほうでお話を伺いまして、その内容に応じまして、医療、福祉、労働等の関係機関のほうにつなぐような形で対応をしております」。 その健康増進課は、総合福祉センターの中にある。この記事の最初に載せた建物が、それだ。
心配ごと相談には、相続や登記の相談も入っている。令和3年6月の定例会で、相続登記の義務化について問われた市は、相談先として松山法務局大洲支局と並べて、「大洲市社会福祉協議会に委託をして実施している心配ごと相談の中で、弁護士や司法書士の専門家に相談することができます」と答えた。令和5年度に墓・相続・遺言の相談が挙がっていたのと、地続きの話である。
お金と暮らしの相談には、社協の中に「大洲市くらしの相談支援センター」がある。生活困窮者自立支援法にもとづく窓口だ。主任相談支援員・相談支援員・就労支援員の3職種が置かれている。年齢制限はなく、無料。「窓口にこられない場合には相談員が訪問することもできます」とも書かれている。ただし生活保護を受けている人は対象外だ。
受け手の体制も議会で答弁されている。令和5年3月の定例会によれば、大洲市社協の職員は本所・各支所あわせて約120名。心配ごと相談事業には専任職員が置かれ、令和5年度からはこれらの業務を総括する課長補佐が新設された。
そして、民生委員という道もある。 市内には163人いて、市は「行政とのパイプ役」と位置づけている。令和7年12月の答弁では「ひきこもりなど、気になる方がおられましたら、身近な民生委員さんにも情報提供いただきましたら、行政のほうにも伝えていただけます」と説明されていた。
相談の中身に、ひきこもりが混ざっていることも市は認めている。平成31年6月の答弁に「社会福祉協議会の心配ごと相談の中でひきこもりに関係する相談もある」とある。ひきこもりの実態調査は平成29年度が最後で、それ以降は行われていない(令和6年12月の答弁)。そのときの数字は、愛媛県内1,000人のうち大洲市53人だった。
専門の窓口を作るかどうかも、同じ議会で問われている。ひきこもり地域支援センターは令和4年度から市町村でも設置できるようになった。だが市は、現段階では設置が厳しいと答えた。理由は人である。必須の相談支援事業を行うには、社会福祉士・精神保健福祉士・臨床心理士などの資格を持つ「ひきこもり支援コーディネーター」を2名以上置く必要があり、「現在の職員体制では、現段階では設置は厳しい」という説明だった。
最後に、調べても出てこなかったものを書いておく。大洲市の心配ごと相談207件の、種類ごとの件数は、公表されていない。 議会答弁でも分類の名前までしか出たことがない。保健師の「こころの相談」年間延べ30件の内訳も同じだ。国が全市区町村について作っている「地域自殺実態プロファイル」という資料はあるが、自治体の担当者にしか配られておらず、一般には公開されていない。
分かったのは、相談の中身そのものではなく、相談を受ける側が何を想定し、どこで、誰が、週に何日待っているかまでだった。
この記事をサイトに掲載した日: 2026/07/31