2026/08/17 ・ 大洲と読書
加納敏彦『目的別!仕事で使えるAI活用事典』を読みました。表紙に八幡浜市立図書館の貸出ラベルが 貼られたままの、まさに「借りてきた本」です。
AIと人間の役割の対比(AIは効率化・スピード、人間は意思決定・責任)や、動画生成AI(Sora、Veo、Dream Machine)の比較、プロンプトの書き方の工夫など、実用的なメモがぎっしり書き込まれていました。感想文 というより、実践投入への意欲が伝わるノートです。
本書が整理していた「AIは効率化とスピード、人間は意思決定と責任」という線引きは、そのまま行政の議事録に出てきます。大洲市がどこで線を引いたのかを、市議会の記録から追ってみました。
最初の記録は令和5年5月30日です。この日、市は全職員に対して生成AIの扱いを周知しています。中身は3つでした。個人情報や機密情報を入力しないこと。生成された内容の正確性と著作権侵害のリスクを理解し、確認したうえで使うこと。そのうえで業務効率化の有効な道具として適切に使うこと。
翌6月の市議会では、職員によるワーキンググループを立ち上げ、利用分野・活用方法・禁止事項を含めたルールづくりを検討すると答弁しています。当時の参考にしたのは、自治体で初めて全庁的な活用実証を行った神奈川県横須賀市でした。
そこから1年後の令和6年6月の議会で、使い方がかなり具体的になります。無料版の試験利用から、情報が外に出ない仕組みを持つ有料版への切り替えを進めるという説明で、ねらいは2つ挙がっていました。
1つは職員の業務効率化です。文書作成やアイデア出しに使い、時間外勤務を減らせるか、新しい事業に着手できる時間を確保できるかを検証したい、と。
もう1つが面白いところで、市民に届く文書を分かりやすくすることでした。答弁ではこう説明されています。正確性を重視するあまり、いわゆるお役所言葉になって内容が伝わりづらいことがある。そういうとき、作成した文書を「専門用語を使わず分かりやすい表現に直して」とAIに投げかけると、難解な言い回しが簡単な表現になる。それを案内文書や市の公式サイト、広報おおずに生かしたい、と。
これは本書に載っていたプロンプトの工夫と、ほとんど同じことをしています。役所の側から平易化を業務として位置づけたという点が、この答弁のいちばんの中身だと思いました。
同じ議会では、DX推進計画アクションプランの5年間の予算総額が、令和5年度版の12億3,971万9,000円から令和6年度版の14億2,909万4,670円へ、1億8,937万5,670円増えたことも報告されています。計画の全体像は大洲市のDX、結局どこまで進んでいるの?に整理しました。
令和7年6月の議会には、その後の数字が出ています。市内の小中学校で生成AIを活用している学校は8校。 その多くは中学校で、主に教員の業務改善や情報の収集・分析に使われているという説明でした。
児童生徒側の利用は、まだ限定的だと報告されています。挙がった例は2つだけでした。俳句をつくるときに、風に関する季語をどんなものがあるか調べる。英語科で、英作文が文法的に合っているかを調べる。
借りてきた1冊に書き込んだ実践メモと、市の議事録に残った線引き。どちらも「どこまでを任せて、どこからを自分でやるか」を決める作業でした。本書が対比表で示していたことを、大洲市は5月30日付の通知という形でやっていたことになります。
大洲市には市立図書館(本館+長浜・肱川・河辺の分館)がありますが、隣の八幡浜市の図書館まで足を伸ばして本を借りることもあります。
地域をまたいで本を探しに行く、というのも地方ならではの読書スタイルかもしれません。
この本で学んだAIツールの知識は、このHP(OZU LIFE MEMO)の運営そのものにも生きています。
地方の個人サイト運営と生成AIの相性は、思っていたより良いようです。