大洲の視点 ・ 出典: 愛媛県「目で見て分かる市町財政」/大洲市過疎地域持続的発展計画/総務省市町村決算/西予市財政危機脱却プラン ・ 約16分で読める
市のおサイフの話なんよ。
入ってくるお金のほとんどが、もう使い道の決まってる支払いで消えちゃうの。
自由に使えるぶんが、ほとんど残らないってこと。 のみこめた?
3行でいうと調べた資料 15本
(この記事は中学生・高校生にも分かるように、少し丁寧に説明しながら書いている。その分、いつもより長い。)
大洲市の「経常収支比率」が99.7%で、愛媛県内でワーストから2番目だと知って、正直に言って不安になった。
この数字は本当に危険信号なのか。調べてみたら、答えは「危険なのは事実だが、危険の中身は借金ではなかった」だった。順に書いていく。
市役所に毎年入ってくるお金(税金や国からの交付金など)のうち、毎年必ず出ていく費用にどれだけ使われてしまっているかを示す数字だ。
「毎年必ず出ていく費用」とは、職員の給料、福祉のお金、借金の返済、施設の維持費などを指す。
家計に置き換えると、「毎月の手取りのうち、家賃・光熱費・ローン返済など、必ず出ていくお金が何%か」にあたる。
この数字が高いほど、自由に使えるお金が少ない。これを財政の「硬直化」という。
どのくらいが望ましいのか。西予市が令和7年10月に作った財政危機脱却プランには、「一般に70~80%が望ましいとされています」と書かれている。この物差しで見ると、99.7%は明らかに高い。
| 順位 | 市町 | 経常収支比率 |
|---|---|---|
| 1 | 松野町 | 86.2% |
| 2 | 新居浜市 | 86.4% |
| 3 | 内子町 | 86.5% |
| 5 | 八幡浜市 | 88.8% |
| 10 | 松山市 | 91.3% |
| 17 | 愛南町 | 95.9% |
| 18 | 東温市 | 98.9% |
| 19 | 大洲市 | 99.7% |
| 20 | 西予市 | 100.5% |
20市町のうち19番目。悪いほうから2番目である。
ただし、全国の水準も知っておきたい。総務省の令和6年度市町村普通会計決算によると、全国の市町村平均は93.8%だった。
前年度の93.1%から0.7ポイント悪化している。段階別に見るとこうだ。
| 経常収支比率 | 団体数(令和6年度) | 割合 |
|---|---|---|
| 80%未満 | 101団体 | 5.9% |
| 80%以上90%未満 | 547団体 | 31.8% |
| 90%以上100%未満 | 1,038団体 | 60.4% |
| 100%以上 | 32団体 | 1.9% |
| 合計 | 1,718団体 | 100.0% |
90%以上の自治体は合わせて62.3%。全国の市町村の6割以上が90%台以上だ。
「90を超えたら異常事態」ではない。ただし100%を超えている32団体(1.9%)は明らかに別枠で、隣の西予市はここに入っている。
ちなみに、この全国平均には妙な動きがある。令和2年度93.1% → 令和3年度88.9% → 令和4年度92.2% → 令和5年度93.1% → 令和6年度93.8%。
令和3年度に一度だけ大きく改善している。新型コロナ対応で国から自治体に多額の一般財源が回った年度で、分母が一時的に膨らんだためとみられる。
「一時的に良くなった年」を基準に比べると判断を誤るので、令和2年度と令和6年度を結んで見るのが妥当だと思う。
ここが今回いちばん驚いた部分だ。大洲市が令和8年3月に策定した過疎地域持続的発展計画に、財政指標の20年分の推移が載っていた。
| 指標 | 平成22年度 | 平成27年度 | 令和2年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|---|---|
| 経常収支比率 | 86.9% | 87.4% | 93.4% | 99.7% |
| 財政力指数 | 0.358 | 0.356 | 0.363 | 0.35 |
| 実質公債費比率 | 18.5% | 10.0% | 7.1% | 8.3% |
| 将来負担比率 | 117.6% | 38.0% | 41.7% | 35.4% |
| 地方債現在高 | 280.5億円 | 246.2億円 | 310.7億円 | 330.5億円 |
経常収支比率だけが、まっすぐ悪化している。平成22年度の86.9%は、今の内子町(86.5%)や新居浜市(86.4%)と変わらない、ごく普通の数字だった。それが14年で12.8ポイント上がった。
一方、借金に関する指標はむしろ良くなっている。実質公債費比率は18.5%から8.3%へ、将来負担比率は117.6%から35.4%へ。
特に実質公債費比率は、18%を超えると地方債を発行するのに総務大臣等の許可が必要になるラインで、平成22年度の大洲市はそこに乗っていた。
今は全国で18%以上の団体はわずか1団体しかない。大洲市はその危険水域から、しっかり降りている。
過疎計画の本文にも、実質公債費比率は平成17年度決算の23.1%から令和6年度決算の8.3%まで下がったと書かれ、「行財政改革の推進等により」改善したとされている。
ただし同じ段落に、「今後は、学校施設の耐震化や復興事業等で借り入れた市債の償還により、数値が上昇する見込み」という注意書きも付いている。
愛媛県は経常収支比率のほかに、実質公債費比率・将来負担比率・財政力指数・実質単年度収支も市町別に公表している。大洲市の順位を並べると、性格がはっきり出る。
| 指標 | 大洲市の数値 | 県内20市町での順位 |
|---|---|---|
| 実質公債費比率(低いほど良い) | 8.3% | 13位 |
| 将来負担比率(低いほど良い) | 35.4% | 14位 |
| 財政力指数(高いほど良い) | 0.35 | 11位 |
| 経常収支比率(低いほど良い) | 99.7% | 19位 |
| 実質単年度収支 | 9億1,051万円減 | 19位 |
借金の重さを測る指標(実質公債費比率・将来負担比率)では、大洲市は真ん中あたりにいる。ところが、その年のやりくりを測る指標(経常収支比率・実質単年度収支)では、下から2番目になる。
「実質単年度収支」というのは、その年の収支に、貯金を積んだ分・取り崩した分・借金の繰上返済分を加味した数字だ。
マイナスは「その年、実質的に貯金を食いつぶした」という意味になる。
大洲市の令和6年度はマイナス9億1,051万円。人口37,725人で割ると、1人あたり約2万4千円ずつ貯金を減らした計算になる。
この数字は、市自身の資料でも裏が取れる。大洲市の財政状況資料集(令和6年度)によると、基金残高はこう動いていた。
| 基金 | 令和4年度末 | 令和5年度末 | 令和6年度末 |
|---|---|---|---|
| 財政調整基金 | 30.3億円 | 30.3億円 | 25.8億円 |
| 減債基金 | 12.3億円 | 12.6億円 | 12.7億円 |
| その他特定目的基金 | 63.3億円 | 69.6億円 | 64.9億円 |
| 基金残高合計 | 105.9億円 | 112.4億円 | 103.4億円 |
1年で基金合計が9億円減った。実質単年度収支のマイナス9億1,051万円と、きれいに符合する。
うち財政調整基金(自由に使える貯金)が4.5億円減っている。
これが大洲市の現在地だと思う。過去の借金は着実に返せている。しかし今年のやりくりは赤字で、貯金で埋めている。
県内で唯一100%を超えている西予市(100.5%)が、実際に何をしているのか。
「この先の姿」の一番リアルなサンプルになるので、市が公表している「西予市財政危機脱却プラン2025」(令和7年10月策定)を読んでみた。
冒頭に、市長名でこう書かれている。
「市の貯金である財政調整基金は底をついてしまいました。このままでは、大規模災害への備えやこれまでの市民サービスの継続も困難になります。」
数字はこうだ。西予市の財政調整基金は平成28年度末の48.3億円がピークで、そこから一貫して減り続け、令和7年度4月期首時点で2.8億円になっていた。9年で約45億円が消えた計算になる。
経常収支比率も、平成26年度の85.3%から令和6年度の100.5%へと10年で15.2ポイント上がっている。
市はその要因を「平成27年度以降の普通交付税の減少に加え、公債費や人件費の増加、さらに公共施設の再編が停滞し、経常的経費の削減が進んでいないこと」と説明している。
対策として掲げられているのが、市長・副市長・教育長と職員の給与を今後2年間削減すること、公共施設マネジメント・財政改革・組織業務改革の3本柱、そして具体的な数値目標だ。
目標は「集中改革期間後に、年間を通じて常に10億円以上の財政調整基金を確保する」「できるだけ早期に、4月期首時点で20億円以上を確保する」の2つ。
当初予算での基金取崩額を、現行の8億円から3億円以下に抑えることも掲げている。
なぜ20億円なのかという理由も書いてある。平成30年7月豪雨のとき、財政調整基金から一時的に約27億円を取り崩した実績があるからだ。災害時に即座に動かせる現金がないと、初動対応ができない。
ここで大洲市の数字と並べてみる。大洲市の財政調整基金は令和6年度末で25.8億円。
西予市が「これを確保したい」と目標に置いた20億円を、今のところ上回っている。
ただし1年で4.5億円のペースで減っているので、このペースが続けば5年ほどで西予市の目標水準を割り込む。
なお、西予市のプランには県内11市の財政調整基金残高の比較表も載っていた。松山市198.0億円、今治市159.9億円、四国中央市63.2億円、西条市62.5億円、宇和島市45.8億円、八幡浜市40.4億円、東温市35.2億円、大洲市30.2億円(令和5年度決算)、伊予市21.4億円、新居浜市16.1億円、西予市10.8億円という並びだった。大洲市は11市中8位。
このプランを読んでいて、思わぬところで大洲市の話に戻ってきた。
西予市は改革のポイントとして「新たな財源の確保」を挙げ、そこにこう書いている。
「ふるさと納税は億単位の増収が期待できる有力な手段であり、財源確保の柱として積極的に取り組む姿勢が求められます。(令和6年ふるさと納税 西予市5億円、八幡浜市31億円、愛南町27億円)」
財政危機の対策として、真っ先にふるさと納税が挙がっている。そして八幡浜市との6倍差が、そのまま資料に書き込まれている。
大洲市も同じ側にいる。令和7年度の受入額は4億6,079万円で、八幡浜市の47億7,766万円の約10分の1だ。
しかも募集経費が49.49%かかっているので、実際に手元に残るのは2億3,275万円になる。
詳しくは大洲市のふるさと納税4.6億円。そのうち2.2億円は経費で消えていたに書いた。
経常収支比率を1ポイント下げるのに、大洲市の経常一般財源の規模なら年1.7億円前後の改善が要る。
ふるさと納税で純増している2億円強は、その意味で無視できない大きさになっている。
市民の間には「平成30年7月豪雨でお金を使ったとき、西予市はダメだったが大洲市は大丈夫だった」という言い方がある。被害の大きさで説明できる話なのか、実際の数字を調べた。
内閣府の事例集によると、平成30年7月豪雨の建物被害(全壊・半壊・床上浸水の合計)は、愛媛県内で大洲市が2,073棟で最多、次いで宇和島市983棟、西予市は423棟だった。
肱川水系では野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)がどちらも緊急放流を行い、大洲市市街地では約1,372ヘクタールが浸水している。
建物被害だけで見れば、大洲市のほうが西予市の5倍近く重い。「被害が軽かったから大丈夫だった」という説明は成り立たない。
では何が違ったのか。西予市自身の資料に手がかりがある。西予市の財政調整基金は豪雨の前年(平成29年度末)に46.4億円あり、そこから約27億円を一時的に取り崩した。
つまり厚みのある貯金があったからこそ即座に27億円を出せたが、その後10年近く積み戻せていない。
プランはその要因を「収入(普通交付税)の減少に対する危機意識の欠如」「借金を計画的に管理する調整機能の欠如」「臨時の財政出動」の3つとして自己分析している。
大洲市側の同じ粒度の分析資料は、今回探した範囲では見つからなかった。
「災害からの復旧費用がどちらの市の財政をどれだけ傷めたか」を直接比較できる資料は、公表されていない。
言えるのは、被害規模だけでは説明がつかず、災害前の基金の厚み・その後の交付税の減り方・予算運営の仕方といった複数の要因が効いている、というところまでだ。ここは断定を避けておきたい。
ここまでが「大洲のおサイフはきつい」という話。
ここからは、そのきつさが本当に危ないのかを、よその市とくらべて見ていくよ。
ここで押さえておきたいのが、経常収支比率は財政破綻を直接示す指標ではないということだ。
国は、北海道夕張市が2006年に財政破綻したことを受けて、本当の危険信号を見抜くための指標を新しく作った。
それが実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率の4つで、これを「健全化判断比率」と呼ぶ。
基準を超えると、国の関与のもとで財政再建計画を作らなければならなくなる。
大洲市の実質公債費比率は8.3%。早期健全化基準は25%なので、まだかなり距離がある。
将来負担比率も35.4%で、基準の350%に対して10分の1だ。法律上の「危険」には、大洲市はまったく該当していない。
夕張市がその後どうなったかも見ておきたい。破綻後、約320億円の借金を返すために20年以上の財政再建を続けている。
職員の給与は一時大幅に削られ、その削減率がようやく6%まで戻ったところだ。
本当の財政破綻からの復帰は、それだけ長く遠い道のりになる。経常収支比率が99.7%だからすぐ夕張のようになる、という話ではない。これは公平に書いておきたい。
大洲市だけの現象なのかを確かめるため、統計と学術的な説明を探した。
結論から言うと、これは大洲市固有の失敗ではなく、全国共通の構造的な問題だった。
まず、悪化そのものは全国で起きている。総務省の集計によると、市町村の経常収支比率の全国平均は令和2年度93.1% → 令和3年度88.9% → 令和4年度92.2% → 令和5年度93.1% → 令和6年度93.8%と推移している。令和3年度の谷を除けば、じわじわ上がり続けている。
東京大学の梶田真氏の論文(地理学評論)では、国の地方交付税削減策と、小人口町村の経常収支比率の急上昇が時期的に連動していることが指摘されている。
市町村側の努力不足というより、国の制度変更が引き金になっている、という見立てだ。
ここに合併算定替の終了が重なる。平成の大合併で合併した市町村には、しばらくの間「合併前の市町村がそれぞれ存続していたと仮定した額」の地方交付税が交付される優遇措置があった。
それが合併から10年経つと段階的に縮小し、15年で完全になくなる。
大洲市は平成17年1月の合併なので、この優遇が縮み始めるのが平成27年度前後、完全に終わるのが令和2年度前後にあたる。
改めて大洲市の推移を見ると、平成22年度86.9% → 平成27年度87.4%とほぼ動かず、平成27年度以降に93.4%(令和2年度)、99.7%(令和6年度)と一気に上がっている。
合併算定替が縮小していく時期と、経常収支比率が跳ね上がる時期が重なっている。
西予市も同じ平成17年の合併で、プランの中で「平成27年度以降の普通交付税の減少」を最初の要因に挙げている。時期の一致は、偶然にしては揃いすぎている。
加えて、直近の悪化には物価と人件費が効いている。過疎計画には「物価や人件費の上昇の影響を受けて、経常収支比率が悪化しており、財政構造が極めて硬直化した状況」と書かれている。
令和6年度に全国平均も0.7ポイント悪化しているので、この部分は全国共通の要因だ。
逆に低い自治体は何をしているのか。県内で低いほうの八幡浜市(88.8%)を調べた。
八幡浜市はもともと、八西地域唯一の中核病院である市立八幡浜総合病院への繰出金や、下水道事業の整備費用によって比率が高めに推移してきた経緯がある。
それを下げてきた要因として市の資料が挙げているのは、合併後の定員適正化計画による職員の採用抑制・人員削減、不要不急な事業の見直し、市債発行の抑制といった地道な取り組みだ。派手な一手ではない。
加えて言えば、八幡浜市はふるさと納税で年47億円を集めている。
受入額から経費を引いた約26億円が、毎年ほぼ丸ごと使えるお金として入ってくる。
これが経常収支比率の分母を押し上げている可能性は高いが、ふるさと納税は臨時的な収入として扱われることが多く、経常収支比率の計算にどこまで入るかは自治体の処理によるため、断定はしない。
内子町(86.5%)と東温市(98.9%)については、なぜその水準なのかを説明する公式資料を今回は見つけられなかった。
特に東温市は松山市に隣接した交通の便のよいベッドタウンで、財政力指数も0.49と県内8位と悪くないのに、経常収支比率は98.9%で下から3番目という組み合わせになっている。
「都会に近ければ財政が楽」ではないということは分かるが、その理由までは分からなかった。分からないことは分からないと書いておく。
大洲市の財政について、X(旧Twitter)などで目立った議論があるかも探した。見つけられなかった。
無理に探してそれらしいものを並べるより、見つからなかったと書いておく。
財政というテーマが、全国ニュースに比べてSNS上ではほとんど話題にならない、ということ自体がひとつの発見かもしれない。
西予市の場合は市が自ら「宣言」という形で発信し、市長給与の削減という分かりやすい行動を伴わせたから話題になった、とも言える。
調べ終えて、一言で断定はできなかった。ただ、最初に持っていた漠然とした不安は、もう少し具体的な形になった。
大丈夫だと言える材料。法律上の危険信号である実質公債費比率は8.3%、将来負担比率は35.4%で、どちらも早期健全化基準からは遠い。
20年前は実質公債費比率が23.1%あったことを思えば、借金の重さは着実に軽くなっている。全国の市町村の6割以上が90%台であることも事実だ。
心配だと言える材料。経常収支比率は14年で12.8ポイント上がり、まだ止まっていない。
実質単年度収支はマイナス9億円で県内19位。財政調整基金は1年で4.5億円減り、25.8億円になった。
地方債現在高は令和2年度から令和6年度の4年で20億円増えて330.5億円になっている。
そして市民文化会館の64億円という新しい事業が、これから償還期に入る。
西予市の例が示しているのは、100%を超えたときに何が起きるかの具体像だ。
市長と職員の給与削減、施設の休止、そして「災害に備える27億円を作り直すのに何年かかるか分からない」という状態。他人事ではない。
数字のどちらの見方を信じるかではなく、この先数年で財政調整基金の残高と実質単年度収支がどう動くかを、毎年の決算で追い続けること。
それが一市民としてできる、いちばん現実的なことなのだと思う。
愛媛県の「目で見て分かる市町財政」も、大洲市の財政状況資料集も、毎年更新されて誰でも見られる。
この記事は愛媛県の資料から99.7%という数字を取った。 市議会の会議録を当たったら、市も議員も同じ数字で話していた。
令和8年3月の定例会で、議員がこう述べている。 「本市の財政状況の中で、経常収支比率が悪化していると思います。 令和6年度の決算においては99.7%であり、県内でも2番目に高い状況になっております」。
「県内で2番目に高い」。 この記事で書いた「ワースト2位」と、言い方が違うだけで同じことである。 市の側もそう認識しているということになる。
令和7年12月の定例会では、市の総務部長が別の文脈でこの数字を出していた。 会計年度任用職員をパートにするのではないかと問われて、 「経常収支比率は99.7%という現実は変わりません。 ですから、毎年事務事業の見直し、事務の効率化、DXを図りながらの業務時間の短縮であるとか、 そういうものはしていかなければならないことでございます」と答えている。
99.7%という数字が、人の働き方を変える理由として使われている。 実際、令和8年度には23の部署で84人がフルタイムからパートタイムへ移されている。 この記事で書いた「自由に使えるお金がほぼ残らない」という状態は、 そういう形で人に届く。
なお、市は財政そのものについては危機ではないという立場である。 令和8年6月の定例会で、実質公債費比率などの健全化判断比率は 「いずれの指標も基準値を大きく下回っており、いわゆる資金不足や 財政破綻に近づいているような状況ではございません」と答えていた。 令和6年度決算の実質公債費比率は8.3%で、前年度から0.1ポイントの上昇にとどまる。
借金の指標は良く、固定費の指標だけが悪い。 この記事で「危険の中身は借金ではなかった」と書いたことを、 市の答弁もそのまま裏づけている。
この記事をサイトに掲載した日: 2026/08/18