人口78,319人40,575人に。統計書で見る大洲1年

高台から見下ろす大洲の市街地
高台から見下ろす大洲の市街地(撮影: OZU LIFE MEMO)
メモう

大洲の人口、70年でほぼ半分になったんよ。

ただ地区で差が大きくて、河辺8分の1になってる。

去年は185人生まれて、711人が亡くなった。

3行でいうと調べた資料 7本

  • 大洲市の人口はピークの78,319人(昭和30年)から40,575人へ。70年でほぼ半分
  • ただし地区別では旧大洲3割減に対し、河辺4,278人552人8分の1。落差が大きい
  • 令和6年185人生まれ、711人が亡くなった。1日2.3人ずつ減っている計算になる

「大洲市統計書(令和7年版)」を見てみると、思ったより面白かった。

令和6年の1年間で、大洲では185人生まれて、711人が亡くなった。

1日あたりに直すと、出生0.51人・死亡1.94人。2日に1人生まれるペースに対して、ほぼ毎日誰かが亡くなっている計算になる。

転入944人・転出1,245人ということも分かり、住民の出入りだけで年間301人も減っている。

亡くなった分の減り(自然減526人)と、出入りの分の減り(社会減301人)を足すと、統計書の表には 1年間の純減が載っていて、827人減っている。1日あたり2.3人ずつ 大洲から人が消えている計算になる。

一番びっくりしたのは人口と世帯数の推移の表。統計書に載っているピークは昭和30年(1955年)の78,319人(世帯15,836)。

それが40,575人まで来ている。ちなみに40,575人は令和2年(2020)の国勢調査による確定値で、統計書には令和6年(2024)の推計人口も載っていて、そちらだと37,638人までさらに減っている。70年で半分以下ということになる。

大洲市の人口(昭和30年 → 令和2年)
昭和30年
78,319人
令和2年
40,575人
出典: 大洲市統計書(令和7年版)「人口の推移」。令和6年の推計人口は37,638人

「半分になった」は、ならした平均でしかなかった

この表には続きがあって、合併前の4つの地区ごとの内訳も載っている。同じ70年間を地区別に並べると、 風景がまったく変わった。

昭和30年からの人口の残り方(令和2年 ÷ 昭和30年)
大洲
70%
長浜
29%
肱川
25%
河辺
13%
大洲46,439→32,408 / 長浜20,283→5,808 / 肱川7,319→1,807 / 河辺4,278→552(人)

大洲地区は3割減で踏みとどまっている。ところが河辺地区は4,278人が 552人8分の1になっている。長浜も肱川も7割以上減った。

「大洲市の人口が半分になった」という言い方は、この落差をならした平均でしかなかったということ。 同じ市の中で、ほとんど別の出来事が起きていた。

なお、もっと新しい住民基本台帳ベースの地区別人口については、 住民票の人口は37,931人。地区別に見る大洲のほうで書いている。

世帯数は「増えている」で終わらせてはいけなかった

人口はほぼ半分になったのに、世帯数のほうは15,836世帯から17,375世帯へ増えている。

1世帯あたりの人数が小さくなったからで、実際、統計書にも「1世帯平均2.3人」とある。

大家族が減って、高齢者の一人暮らし・二人暮らしが増えたんだろうなというのが素直な感想だった。

ただ、これは昭和30年と令和2年の2点だけを見た話で、途中を見ると印象がかなり変わる。

世帯数の推移(国勢調査ベース)
昭和30年
15,836
平成17年
19,042
令和2年
17,375
令和6年
17,064
令和6年は県企画統計課の推計世帯数。平成17年がピークで、以後は減少している

世帯数のピークは平成17年(2005年)の19,042世帯

そこからは一貫して減っていて、令和6年の推計では17,064世帯大洲市の世帯数は、20年前にもう減少局面に入っていた。

ここは注意が必要で、住民基本台帳ベースだと世帯数はもっと多く出る(令和8年3月末で19,231世帯)。

集計の仕方が違うので、同じものさしで比べられるのは統計書に載っている国勢調査・推計のほうになる。

「集計の仕方が違う」で片づけると分からないので、何がどう違うのかを並べておく。 人口や世帯数には、性格の異なる2つの数え方がある。

 国勢調査(とその推計)住民基本台帳
誰を数えるか 実際にそこに住んでいる人(常住地主義)。3か月以上住んでいる、または住むことになっている場所で数える 住民票がある人。実際にどこにいるかは問わない
いつ数えるか 5年に1度、10月1日時点。間の年は、そこに出生・死亡・転入転出を足し引きした推計 毎月末。届出が出るたびに動く
誰が数えるか 国(総務省統計局)。調査員が世帯を回る 市町村の窓口。住民からの届出が元
世帯の数え方 同じ家で生活をともにしている集まりを1世帯とする 住民票の「世帯」の単位。同じ家でも世帯分離すれば2世帯になる

差が出る理由は、この表のとおりだ。 進学や単身赴任で市外に出た人は、住民票を大洲に残していれば住民基本台帳では大洲の人だが、 国勢調査では住んでいる先の人になる。逆に、住民票を移さずに大洲に住んでいる人は、 国勢調査では大洲で数えられ、住民基本台帳では数えられない。

世帯数の差はもっと大きい。住民基本台帳では、同じ家に住んでいても 「世帯分離」の届けを出せば2世帯になる。介護保険の負担を抑える目的などで 親子が世帯を分けることは実際にあるので、そのぶん台帳の世帯数は膨らむ。 令和8年3月末の住民基本台帳が19,231世帯、令和6年の推計が17,064世帯という差 (2,167世帯)には、こういう仕組みの違いが含まれている。

どちらが正しいという話ではない。住んでいる人を知りたいなら国勢調査、 手続きの相手を知りたいなら住民基本台帳である。混ぜて比べると、この記事のように 2,000世帯くらいは平気でずれる。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、全国の世帯総数は2020年の5,570万世帯からまだ増え続けていて、2030年の5,773万世帯でピークを迎える見込みらしい。

人口はもうずっと前から減っているのに、世帯数はまだ増加局面にあるということ。

理由は単純で、未婚化や核家族化が進んで「1世帯あたりの人数」がどんどん小さくなっているから。

総人口が変わらなくても、一人暮らしが増えれば、世帯としての数はその分増えていく。

総務省の資料によると、令和4年時点の全国の世帯総数は約5,431万世帯で、そのうち「単独世帯」が約1,785万世帯(全体の約33%)と最も多い区分になっている。

ここが大事なところだと思う。全国はまだ「人口は減っているが、世帯数は増えている」局面にいる。大洲は、その局面をすでに20年前に通り過ぎている。

よく言われる「世帯数は増加傾向」という話を、そのまま大洲に当てはめると読み間違えることになる。

「人口」より「世帯数」が効いてくる仕事がある

ここでふと思ったのが、「人口」より「世帯数」のほうが効いてくる仕事や数字って、実は結構あるんじゃないか ということ。

  • 郵便配達: 配達は「世帯・建物」ごとに回る仕事なので、1軒あたりの郵便物が減っても、配達箇所そのものが 増えれば手間は減らない。総務省の資料 でも、全国の総配達箇所数は1996年度の49,889千箇所から2017年度には62,370千箇所まで増えていて、 「配達すべき郵便物がない箇所を含め、週6日決まった集配ルートを維持する必要があり、1箇所当たりの 配達費用は必ず発生する」ため、郵便物数が減っても費用は減りにくい固定費的な構造になっていると 説明されている。
  • NHKの受信契約: 契約の単位は世帯なので、一人暮らしが増えるほど、契約件数そのものは増えていく。
  • 自治会: 加入・運営の単位はほぼ世帯。総務省の調査 では、人口1万人未満の地域で加入率が平均9割前後なのに対し、人口50万人以上の地域では7割を切るという データもある。

つまり全国では「人口が減っているから業務量も減る」とは単純に言えない。

世帯数が増え続ける限り、郵便配達みたいな「1軒ずつ回る」タイプの仕事は、むしろ大変になっていく。

ただ、大洲はもうその先にいる。人口も世帯数も、両方が同時に減っていく段階に入っている。

配達する先そのものが減り、自治会に入る世帯も減り、それを回す担い手も減る。

全国がこれから迎える「世帯数の減少」を、大洲は先に体験している側になる。

大洲でも独り暮らし世帯が増える中で、地域包括支援センターや自治会、民生委員といった「顔の見える関係」が大事になる、という話も、結局は同じ理屈の延長線上にある気がする。

ただ、その関係を支える世帯の数自体が減っていく、というのが今の大洲の位置なんだと思う。

年齢構成のほうも数字がはっきりしている。統計書には老年化指数という指標が載っていて、令和2年の大洲市は327.9

65歳以上の人口が、14歳以下の3.3倍いるという意味になる。

平成27年は274.0だったので、5年で一気に上がった。愛媛県全体の282.4と比べても高い。

統計書を最後まで読んで分かったのは、大洲の人口減少はひとつの現象ではないということだった。

旧大洲は7割が残り、河辺は4,278人が552人になった。世帯数は平成17年の19,042世帯でピークを過ぎ、老年化指数は5年で50ポイント以上上がった。

どれも「人口減少」の一語でまとめられてしまうが、起きていることの中身も、必要な手当ても、地区によってまったく違う。

市全体の平均を見ているかぎり、その違いは数字に出てこない。統計書がわざわざ地区別の表を載せ続けているのは、たぶんそのためだ。