大洲の視点 ・ 出典: 大洲市統計書 ・ 約7分で読める
大洲の人口、70年でほぼ半分になったんよ。
ただ地区で差が大きくて、河辺は8分の1になってる。
去年は185人生まれて、711人が亡くなった。
3行でいうと調べた資料 7本
「大洲市統計書(令和7年版)」を見てみると、思ったより面白かった。
令和6年の1年間で、大洲では185人生まれて、711人が亡くなった。
1日あたりに直すと、出生0.51人・死亡1.94人。2日に1人生まれるペースに対して、ほぼ毎日誰かが亡くなっている計算になる。
転入944人・転出1,245人ということも分かり、住民の出入りだけで年間301人も減っている。
亡くなった分の減り(自然減526人)と、出入りの分の減り(社会減301人)を足すと、統計書の表には 1年間の純減が載っていて、827人減っている。1日あたり2.3人ずつ 大洲から人が消えている計算になる。
一番びっくりしたのは人口と世帯数の推移の表。統計書に載っているピークは昭和30年(1955年)の78,319人(世帯15,836)。
それが40,575人まで来ている。ちなみに40,575人は令和2年(2020)の国勢調査による確定値で、統計書には令和6年(2024)の推計人口も載っていて、そちらだと37,638人までさらに減っている。70年で半分以下ということになる。
この表には続きがあって、合併前の4つの地区ごとの内訳も載っている。同じ70年間を地区別に並べると、 風景がまったく変わった。
大洲地区は3割減で踏みとどまっている。ところが河辺地区は4,278人が 552人。8分の1になっている。長浜も肱川も7割以上減った。
「大洲市の人口が半分になった」という言い方は、この落差をならした平均でしかなかったということ。 同じ市の中で、ほとんど別の出来事が起きていた。
なお、もっと新しい住民基本台帳ベースの地区別人口については、 住民票の人口は37,931人。地区別に見る大洲のほうで書いている。
人口はほぼ半分になったのに、世帯数のほうは15,836世帯から17,375世帯へ増えている。
1世帯あたりの人数が小さくなったからで、実際、統計書にも「1世帯平均2.3人」とある。
大家族が減って、高齢者の一人暮らし・二人暮らしが増えたんだろうなというのが素直な感想だった。
ただ、これは昭和30年と令和2年の2点だけを見た話で、途中を見ると印象がかなり変わる。
世帯数のピークは平成17年(2005年)の19,042世帯。
そこからは一貫して減っていて、令和6年の推計では17,064世帯。大洲市の世帯数は、20年前にもう減少局面に入っていた。
ここは注意が必要で、住民基本台帳ベースだと世帯数はもっと多く出る(令和8年3月末で19,231世帯)。
集計の仕方が違うので、同じものさしで比べられるのは統計書に載っている国勢調査・推計のほうになる。
「集計の仕方が違う」で片づけると分からないので、何がどう違うのかを並べておく。 人口や世帯数には、性格の異なる2つの数え方がある。
| 国勢調査(とその推計) | 住民基本台帳 | |
|---|---|---|
| 誰を数えるか | 実際にそこに住んでいる人(常住地主義)。3か月以上住んでいる、または住むことになっている場所で数える | 住民票がある人。実際にどこにいるかは問わない |
| いつ数えるか | 5年に1度、10月1日時点。間の年は、そこに出生・死亡・転入転出を足し引きした推計 | 毎月末。届出が出るたびに動く |
| 誰が数えるか | 国(総務省統計局)。調査員が世帯を回る | 市町村の窓口。住民からの届出が元 |
| 世帯の数え方 | 同じ家で生活をともにしている集まりを1世帯とする | 住民票の「世帯」の単位。同じ家でも世帯分離すれば2世帯になる |
差が出る理由は、この表のとおりだ。 進学や単身赴任で市外に出た人は、住民票を大洲に残していれば住民基本台帳では大洲の人だが、 国勢調査では住んでいる先の人になる。逆に、住民票を移さずに大洲に住んでいる人は、 国勢調査では大洲で数えられ、住民基本台帳では数えられない。
世帯数の差はもっと大きい。住民基本台帳では、同じ家に住んでいても 「世帯分離」の届けを出せば2世帯になる。介護保険の負担を抑える目的などで 親子が世帯を分けることは実際にあるので、そのぶん台帳の世帯数は膨らむ。 令和8年3月末の住民基本台帳が19,231世帯、令和6年の推計が17,064世帯という差 (2,167世帯)には、こういう仕組みの違いが含まれている。
どちらが正しいという話ではない。住んでいる人を知りたいなら国勢調査、 手続きの相手を知りたいなら住民基本台帳である。混ぜて比べると、この記事のように 2,000世帯くらいは平気でずれる。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、全国の世帯総数は2020年の5,570万世帯からまだ増え続けていて、2030年の5,773万世帯でピークを迎える見込みらしい。
人口はもうずっと前から減っているのに、世帯数はまだ増加局面にあるということ。
理由は単純で、未婚化や核家族化が進んで「1世帯あたりの人数」がどんどん小さくなっているから。
総人口が変わらなくても、一人暮らしが増えれば、世帯としての数はその分増えていく。
総務省の資料によると、令和4年時点の全国の世帯総数は約5,431万世帯で、そのうち「単独世帯」が約1,785万世帯(全体の約33%)と最も多い区分になっている。
ここが大事なところだと思う。全国はまだ「人口は減っているが、世帯数は増えている」局面にいる。大洲は、その局面をすでに20年前に通り過ぎている。
よく言われる「世帯数は増加傾向」という話を、そのまま大洲に当てはめると読み間違えることになる。
ここでふと思ったのが、「人口」より「世帯数」のほうが効いてくる仕事や数字って、実は結構あるんじゃないか ということ。
つまり全国では「人口が減っているから業務量も減る」とは単純に言えない。
世帯数が増え続ける限り、郵便配達みたいな「1軒ずつ回る」タイプの仕事は、むしろ大変になっていく。
ただ、大洲はもうその先にいる。人口も世帯数も、両方が同時に減っていく段階に入っている。
配達する先そのものが減り、自治会に入る世帯も減り、それを回す担い手も減る。
全国がこれから迎える「世帯数の減少」を、大洲は先に体験している側になる。
大洲でも独り暮らし世帯が増える中で、地域包括支援センターや自治会、民生委員といった「顔の見える関係」が大事になる、という話も、結局は同じ理屈の延長線上にある気がする。
ただ、その関係を支える世帯の数自体が減っていく、というのが今の大洲の位置なんだと思う。
年齢構成のほうも数字がはっきりしている。統計書には老年化指数という指標が載っていて、令和2年の大洲市は327.9。
65歳以上の人口が、14歳以下の3.3倍いるという意味になる。
平成27年は274.0だったので、5年で一気に上がった。愛媛県全体の282.4と比べても高い。
統計書を最後まで読んで分かったのは、大洲の人口減少はひとつの現象ではないということだった。
旧大洲は7割が残り、河辺は4,278人が552人になった。世帯数は平成17年の19,042世帯でピークを過ぎ、老年化指数は5年で50ポイント以上上がった。
どれも「人口減少」の一語でまとめられてしまうが、起きていることの中身も、必要な手当ても、地区によってまったく違う。
市全体の平均を見ているかぎり、その違いは数字に出てこない。統計書がわざわざ地区別の表を載せ続けているのは、たぶんそのためだ。