DIE WITH ZERO

本のタイトル
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
著者
ビル・パーキンス
出版社
ダイヤモンド社
読んだ本

富の最大化ではなく、人生の喜びの最大化を

『DIE WITH ZERO』を読みました。「人生で一番大切なのは思い出を作ることだ」という主張が中心の本です。

2025年4月に「再読」と書き込んでいて、繰り返し読み返している一冊のようです。

アリとキリギリスの寓話を引き合いに、ひたすら働いて貯金するだけの生き方に疑問を投げかけています。

「人はモノではなく経験にお金を使う方が幸せになる」という研究も紹介されていました。

「富の最大化ではなく人生の喜びを最大化する方を選ぶ」という一文に、強く線を引きました。

やりたいことを先延ばしにせず、今しかできないことに投資しよう、という決意のようなメモも残しています。

大洲で調べた

大洲では、健康な時間があと何年あるのか

本書がくり返し言うのは、経験には賞味期限があるということです。同じ旅行でも、40代でできることと70代でできることは違う。だから使うなら早いほうがいい、と。

では大洲の場合、その期限はいつごろ来るのでしょうか。市議会の記録に、はっきりした数字がありました。

平成22年の国勢調査による市町村別の平均寿命は、大洲市が男性79.8歳、女性86.5歳。愛媛県は男性79.1歳・女性86.5歳、国は男性79.5歳・女性86.3歳でした。男女とも国と県を上回っています。

大洲市愛媛県全国
男性79.8歳79.1歳79.5歳
女性86.5歳86.5歳86.3歳

ところが、本書がほしがるほうの数字は出てきません。市はこう答えています。健康寿命については、大洲市は算出に必要なデータを保有しておらず、市単独での算出はできない。 ただし国でも県でも平均寿命との差が男性は約9歳、女性は約12歳なので、大洲市も同様の傾向ではないかと推測している、と。

その差をそのまま当てはめて計算してみます。79.8から9を引くと約71歳、86.5から12を引くと約74歳。ここから先が、本書の言う「お金はあるが使えない時間」にあたります。

平均寿命が長いということは、そのぶん「使えない時間」も長くなるということでもあります。大洲が国と県を上回っている事実は、本書の枠組みで読むと、素直に喜んでいい話とは限りません。

医療費と介護費は、その差の重さを別の角度から見せる

同じ答弁には、お金の側の数字も並んでいました。1人あたりの国民健康保険医療費は、平成28年度が38万5,819円。 5年前の平成24年度と比べて4万4,592円、13.1パーセントの増加です。被保険者が減ったため総額は6.8パーセント減っているのに、1人あたりは増えました。

介護のほうはもっと素直で、平成28年度の介護給付費は約46億3,000万円。5年前より約5億円、12.1パーセント増えています。

つまり大洲では、人数が減っても1人にかかる費用は増え続けているという形になっています。本書は「子どもに遺す金は生前に渡せ」と言いますが、その前に、この差の期間に自分で必要になる分がある。数字を見るかぎり、そこは薄くはありません。

なお、市が健康寿命を算出できないという状態はいまも続いていて、代わりに市民アンケートをものさしに使っています。その中身は「健康はあまりよくない」16.7%にまとめました。使えるお金のほうは世帯年収200万円未満が4人に1人が近いところにあります。

大洲とつながったこと

「経験への投資」としてのキャッスルステイ

「経験にお金を使う」という考え方で大洲を見ると、城そのものに泊まれるキャッスルステイのような取り組みが思い浮かびます。

モノを所有するのではなく、その場所でしか味わえない経験を売る。まさにこの本が言う「経験への投資」です。

自分自身も、限られた時間の中で「今しかできないこと」を後回しにしていないか、この本を読むたびに考えさせられます。

大洲での日々の中にも、思い出として残したい経験がまだまだあるはずです。