とっぱらう

本のタイトル
とっぱらう 自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」
著者
ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー
出版社
ダイヤモンド社
読んだ本

「速度を上げるばかりが人生ではない」

『Make Time とっぱらう 自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』を読みました。

書影の写真と、緑ペンで書き留めた一言だけが残っている、シンプルなメモです。

「速度を上げるばかりが人生ではない」というガンディーの言葉が、大きく書き留められていました。

読書メモというより、一言だけを大事に持ち帰った、という読み方です。

大洲で調べた

大洲では、1日の形をかなりの部分まで時刻表が決めています

本書の中身は、乱暴にまとめると2つです。1日にハイライトを1つ決めて、そこに時間を寄せる。 そして、注意を吸い取るものを遠ざける。どちらも「自分で時間の形を決める」という前提の上に立っています。

大洲でこの前提がどこまで成り立つのかを、公共交通の数字で確かめてみました。

市の循環バス「ぐるりんおおず」は、一周73分です。右回りと左回りがあって、同じ停留所に2分差で来ます。運賃は中学生以上150円、小学生以下100円。車両は2台で、ダイヤは朝夕の通勤通学便に連動して組まれています。令和7年度の年間利用者は5万9,485人でした。

一周73分ということは、乗り間違えると、次に同じ場所へ戻ってくるまで73分かかるということです。1時間13分は、本書が確保しろと言うハイライトの時間とほぼ同じ長さです。

より効くのは、市が10地区で走らせているデマンド型交通のほうです。運行は週2日、しかも前日16時までの予約制。運賃は地区内150円、地区外300円です。

条件
循環バス「ぐるりんおおず」一周73分・右回りと左回りが2分差
デマンド型交通10地区・週2日・前日16時までの予約
一般タクシー市内2社

「前日16時まで」というのは、明日の予定を今日の夕方までに確定させろ、ということです。 本書は「明日のハイライトを前の晩に決めておけ」と勧めますが、大洲の一部の地区では、それが心がけではなく手続きとして先に来ます。

27系統のうち、そのまま残っていたのは6つでした

選べる時間の幅そのものも、この20年で狭くなっています。

市の計画書に載っていた27系統を1つずつ追いかけたところ、2026年8月の時点でそのまま残っていたのは6系統でした。デマンドに置き換わったもの、大幅に減便されたもの、完全に消えたものがそれぞれあります。松山空港シャトルバスは2025年9月1日から運休、磯崎〜長浜は2025年3月31日で廃止されました。詳しくは大洲のバス27系統。そのまま残っていたのは6つだったにまとめています。

一般タクシーも、いまは市内2社です(大洲のタクシー会社は2社になった)。

こうして並べると、本書が想定している読者と、大洲で暮らす人との違いがはっきりします。本書が敵に回しているのは気を散らすものです。手を伸ばせば無限に出てくる情報を、どう遠ざけるか。一方、大洲で時間の形を決めているのはもっと物理的なもので、73分と、週2日と、前日16時です。

そこは「とっぱらう」対象になりません。だから残る問いは、取り除けない枠の中で、どこにハイライトを置くかのほうになります。

大洲とつながったこと

移動時間との向き合い方は変えられる

大洲での暮らしは、移動時間が長くなりがちです。速度を上げること、効率化することばかり考えていると、 いつの間にか「何のために急いでいるのか」を見失いそうになります。

この本から持ち帰った一言は、そのまま自分への戒めになっています。

移動時間そのものを「とっぱらう」ことはできなくても、その時間との向き合い方は変えられるはずです。