大洲市総合計画、132項目のうち34項目がD評価。3年連続で後退したのは23項目

大洲市役所の庁舎
大洲市役所の庁舎(撮影: OZU LIFE MEMO)
メモう

市のいちばん上の計画、132ある目標のうち34が「後退」なんよ。

3年続けて後退してるのが23。

公民館とか自治会とか、人が集まる場所に集中してるの。

3行でいうと調べた資料 4本

  • 市の最上位計画の数値目標132項目のうち、34項目(約4分の1)が基準値より後退のD評価
  • 3年連続Dは23項目。公民館・自治会・ボランティアなど「集まる場」系に集中している
  • 悪い数字も隠さず毎年公表している。ただし「なぜそうなったか」の説明はどこにもない

最初にはっきりさせておく。この記事が扱っているのは「令和6年度末時点」の数字である。

令和8年8月に確認した時点で、大洲市が公表している総合計画の進捗状況は令和6年度末(令和7年3月末)まで

令和7年度分も令和8年度分も、まだ公表されていない。この記事に出てくる数字を、今年や去年の状況と読み違えないでほしい。

その前提で、市が公表したPDF全30ページを1行ずつ数えた。

132項目のうち、D評価が34項目。約4分の1が「基準値より後退」していた。

そもそも、この評価は何を測っているのか

大洲市には「第2次大洲市総合計画後期基本計画」という、市政で一番大きな指針がある。

「きらめくおおず~みんな輝く肱川流域のまち~」という将来像を掲げ、132個の数値目標が設定されている。

評価は4段階で、PDFの冒頭にこう定義されている。

  • A … 目標値を達成
  • B … 目標に向かい基準値から前進
  • C … 基準値と同等
  • D … 基準値より後退

ここが読み解きのポイントになる。Dは「目標に届かなかった」ではなく「スタート地点より悪くなった」という意味だ。

目標値は令和8年度の数字、基準値は令和2年度または令和元年度の現況値。

つまりD評価とは、計画を始めたときより数字が悪化している、ということになる。

各項目には令和4・5・6年度の3年分の実績が横に並んでいるので、単年ではなく流れで見られるようになっている。

132項目を全部数えた

評価の内訳は市の資料に集計されていなかったので、PDFの評価欄を1つずつ数えた。

評価令和4年度令和5年度令和6年度
A(目標達成)263036
B(前進)585149
C(同等)141413
D(後退)384134
評価が付いた項目数136136132

D評価は令和5年度の41項目をピークに、令和6年度は34項目まで減った。A評価は26→30→36と着実に増えている。全体としては、令和6年度は前の2年より良い年だった。

それでも132項目中34項目、25.8%がDである。4つに1つが、計画を始めた時点より悪くなっている。

なお、令和6年度だけ評価が付いた項目が132と少ないのは、実績値が「―」のまま集計できない項目があるためだ。

この集計は市の公表資料にあるものではなく、こちらでPDFを読んで数えた数字であることは断っておく。

3年連続でD評価だったのは23項目

単年で悪かった項目より、3年続けてDだった項目のほうが問題だと思う。数えると23項目あった。全部挙げる。

分野3年連続D評価の項目
農林業遊休農地面積/多面的機能直接支払対象面積/乾しいたけ生産量/乾たけのこ生産量
商工・観光商店街におけるイベント件数/鹿野川湖を活用したイベント回数
健康・福祉予防接種の接種率(麻疹・風疹)第1期/同 第2期/福祉ボランティア登録団体数/子ども女性比/病児保育施設の設置/シルバー人材センターにおける登録者数
教育・文化・スポーツ公民館年間利用者数/図書館年間利用者数/スポーツ少年団認定指導者数/大洲市総合体育館利用者数
生活基盤離島航路利用者数/有収率/交通事故件数
環境・地域ごみの再資源化率/ごみの資源化量/区入り率
行政職員改善・改革提案制度における提案件数

並べてみると、公民館・図書館・体育館・自治会・ボランティアといった「人が集まる場所と仕組み」が固まって落ちている。人口減少と高齢化が、そのまま数字に出ている分野だ。

具体的な数字を2つ挙げる。

  • 公民館年間利用者数: 基準値(令和元年度)148,857人 → 令和4年度86,529人 → 令和5年度97,171人 → 令和6年度124,673人。目標129,000人。コロナ禍の底からは大きく戻したが、基準値には24,184人足りないのでD評価になる
  • 図書館年間利用者数: 基準値(令和元年度)104,205人 → 94,363人 → 97,217人 → 令和6年度96,281人。目標108,000人。令和5年度から936人減っており、こちらは足踏みしている

公民館は明確に回復している。同じD評価でも、中身は正反対だ。

4段階の記号だけを見て「どちらもダメ」と判断すると、実態を見誤る。

基準年からずっとゼロのままの項目がある

23項目のなかで、いちばん目を引いたのがこれだった。

項目基準値(令和2年度)令和4年度令和5年度令和6年度目標(令和8年度)
職員改善・改革提案制度における提案件数0件0件0件0件10件/年

基準年からずっと0件である。基準値の令和2年度も0、令和4年度も0、令和5年度も0、令和6年度も0。制度はあるのに、4年分の数字が全部ゼロだ。

評価がDになっているのも不思議で、基準値0に対して実績0なら本来はC(基準値と同等)のはずだが、資料ではDが付いている。

目標10件に対して1件も出ていない状態を、市自身がDと判定しているということだと思う。

なぜ提案が出ないのか。理由を説明する記述は、このPDFにも市のほかの公表資料にも見当たらなかった。

制度が形骸化しているのか、そもそも周知されていないのか、提案しても通らないと思われているのか。分からなかった、と正直に書いておく。

ただ、この0件という数字が4年分そのまま公表資料に載り続けていること自体は、隠していないという意味で評価できる。

目標を下げて体裁を整えることもできたはずで、それをしていない。

令和6年度に持ち直した項目もある

悪い話ばかりではない。3年分を並べたからこそ見えた「底を打った」項目がいくつもあった。

項目令和4年度令和5年度令和6年度目標(令和8年度)令和6年度評価
誘致・留置企業数2社0社3社3社A
新規雇用者数(企業立地促進条例)4人0人16人26人B
ふるさと納税寄附金2億7,362万円3億4,364万円4億4,339万円3億5,000万円A
全国学力・学習状況調査(小学校)全国平均より-2.7全国平均より-4.0全国平均より+1.5全国平均より+1.5A
国内交流事業における年間交流人口0人28人202人300人B
実質公債費比率7.1%7.6%8.3%10.0%未満A

誘致・留置企業数は令和5年度に0社まで落ちて、令和6年度に3社で目標ちょうど。国内交流事業の年間交流人口も、令和4年度の0人から令和6年度は202人まで戻した。

「誘致企業0社」「交流人口0人」という数字は令和4~5年度のものであって、最新の令和6年度は目標達成または前進の評価になっている。1年古い数字だけを取り出すと、まったく逆の印象になる。

なお、企業誘致の実態については企業誘致は絵空事か。人口ほぼ同じ菊陽町がTSMCを呼べた理由から、大洲の現実を考えるで、条例と奨励金の交付実績まで含めて掘り下げた。

とくに目を引いたのが全国学力・学習状況調査(小学校)だ。基準値の令和元年度は全国平均正答率より+1.0だったのが、令和4年度-2.7、令和5年度-4.0と2年続けて下がり、令和6年度に+1.5へ一気に戻して目標を達成した。令和5年度から5.5ポイントの改善である。

一方、中学校のほうは基準値-4.0に対して令和4年度-2.6、令和5年度-4.3、令和6年度-5.3と下がり続けている。

同じ市の同じ調査で、小学校と中学校の向きが逆になっている。理由の説明はPDFになかった。

ふるさと納税寄附金は令和6年度に4億4,339万円で目標の3億5,000万円を大きく超えた。

この寄附金がどう使われ、募集にいくらかかっているかは大洲市のふるさと納税4.6億円。そのうち2.2億円は経費で消えていたのほうで書いた。

次に新しい数字が出るのは、いつか

ここが一番知りたいところだったので、調べた。

市のページ(第2次大洲市総合計画)の表示上の更新日は2023年9月7日のままになっていて、参考にならない。

そこで、PDFファイルそのものがサーバーに置かれた日時を確認した。

令和6年度末時点の進捗状況PDFの最終更新は、令和8年2月16日だった。

令和6年度が終わった令和7年3月末から数えて、約11か月後である。

この1件しか手がかりがないので断定はできないが、同じペースなら、令和7年度末時点の進捗状況が公表されるのは令和9年(2027年)2月ごろということになる。それまでは、この令和6年度末の数字が最新であり続ける。

もうひとつ、押さえておくべき事情がある。この第2次総合計画は、令和8年度で終わる。

令和8年度当初予算に「総合計画策定事業1,966万2千円」が計上されていて、説明にはこう書かれている。

「現在の基本構想・基本計画(H29-R8)を見直し、第3次大洲市総合計画を策定します。」

第3次総合計画の基本構想(案)については、令和8年6月2日から7月1日にかけてパブリックコメントもすでに実施されている(意見提出者5人・21件)。

その中身は大洲市の9年計画に意見を出したのは5人。反映されたのは1件だけに書いた。

つまり、この132項目の進捗評価が出てくるのは、あと2回だけだ。

令和7年度末分と、最終年度である令和8年度末分。とくに最後の1回は、10年近く続いた計画の最終的な答え合わせになる。

そこで132項目のうち何項目がAで終わるのかは、この記事の続きとして必ず確認したい。

読み終えて

正直に言うと、開く前は「どうせ都合のいい数字だけ並べているのだろう」と思っていた。

そうではなかった。4年連続0件の提案制度も、基準値より24,000人少ない公民館利用者数も、3年連続で悪化する中学校の学力調査も、そのまま載っている。

132項目中34項目がDという結果を、市は毎年PDFで公開している。

一方で、この資料の弱点もはっきりしている。「なぜそうなったのか」がどこにも書かれていない。

数字と評価記号は並ぶが、理由の説明が1行もない。提案件数が0件である理由も、小学校の学力が1年で5.5ポイント戻った理由も、資料からは分からなかった。

公表されているだけでは、検証したことにはならない。次に公表される令和7年度末分で、そこがどう扱われるかを見たいと思う。