大洲の自由研究 #04
経常収支比率99.7%で県内ワースト2、と聞くと不安になる。でも実質公債費比率は8.3%で県内13位、 将来負担比率は35.4%で14位。どちらも真ん中だ。この矛盾するような数字を、 バラバラのニュースではなく1枚の家計簿として並べ直したら、大洲市の財政の形が見えてきた。
経常収支比率99.7%で県内ワースト2、て聞くと不安になるやろ。
けど実質公債費比率は8.3%で13位、将来負担比率は35.4%で14位。真ん中なんよ。
バラバラに届く数字を、1枚の家計簿にして並べ直した。
この1年、大洲市の財政に関する数字をいくつも記事にしてきた。
予算502億円のうち自主財源は3割[1]、経常収支比率99.7%で県内ワースト2[2]、民生費が予算の34.2%を占める[3]、総合計画の進捗にD評価が並ぶ[4]——。どれも市が公表している数字で、それぞれは正確だ。
でも、書いていて気持ち悪かったことがある。これらの数字が、お互いにどうつながっているのかが分からないのだ。
経常収支比率が高いことと、自主財源が少ないことは、同じ問題の別の顔なのか。
民生費が増えていることと、財政が硬直していることは因果関係があるのか。1本ずつの記事では、そこまで踏み込めていなかった。
理由ははっきりしている。自治体の財政は、使う目的も、集計する年度も、根拠になる法律も違う指標が並列で公表されるからだ。
予算は年度が始まる前の計画。決算は終わったあとの実績。健全化判断比率は法律に基づく「危険信号のチェック」。
それぞれ別の紙に、別のタイミングで出てくる。市民が普通にニュースを追っていて全体像がつかめないのは、当然と言えば当然だ。
そこでこの記事では、これまで散らばっていた数字を1つの家計簿に並べ直す。
年度が違うものは年度を明記する。指標の意味は家計に置き換えて説明する。
そして最後に、県内20市町の中で大洲市がどこに立っているのかを地図のように示す。
目標は、「99.7%はヤバいのか」という問いに、自分で答えを出せる材料を揃えることだ。
最初につまずきやすいのが、「大洲市の予算はいくらか」という問いに答えが2つあることだ。
令和7年度で言えば、502億円と308億円の2つが出てくる。
一般会計に加えて、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療・水道・下水道といった特別会計や企業会計をすべて足した総額。市が1年間に動かすお金の全体像。
使い道が特定の目的に縛られていない、市の基本的な財布。福祉・教育・道路・防災など、いわゆる「市政」の大部分がここで動く。平成17年の合併以降で最大の規模。
財政の議論をするときは、原則として一般会計を見る。 特別会計は保険料や使用料といった専用の収入と支出がセットで動くので、 市の裁量の余地が小さいからだ。以下、断りがない限り一般会計の話をする。
1点、注意が必要な年度がある。翌年の令和8年度当初予算は、全会計で479億4,349万4千円(前年度比-4.5%)、一般会計は278億8,000万円と、前年より30億円ほど小さい。
これは市が縮小したというより、市長改選期を控えた骨格予算だからだ。
骨格予算とは、選挙後に本格的な予算を組み直す前提で、当面必要な経常的経費だけを計上した暫定的な予算のこと。
実際、令和8年度当初の教育費は18億9,138万7千円で前年度比31.1%減という極端な数字になっている。
年度をまたいだ比較をするときは、この事情を知らないと誤読する。
規模の感覚をつかむために、人口で割ってみる。2025年10月1日の国勢調査速報値で大洲市の人口は37,365人[5]。
全会計502億円をこれで割ると1人あたり約134万円。一般会計308億7,000万円なら1人あたり約83万円になる。
もちろん配られるわけではないが、市民1人につきこれだけのお金が1年間で動いている、という規模感は持っておきたい。
令和7年度一般会計の歳入308億7,000万円の内訳は、次のとおりだ[1]。
| 科目 | 金額 | 構成比 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 地方交付税 | 111億5,468万円 | 36.2% | 依存財源 |
| 市税 | 48億6,855万円 | 15.8% | 自主財源 |
| 国庫支出金 | 32億1,181万円 | 10.4% | 依存財源 |
| 市債(借入) | 23億6,920万円 | 7.7% | 依存財源 |
| 繰入金(基金の取り崩し) | 22億2,596万円 | 7.2% | 自主財源 |
| 県支出金 | 19億5,210万円 | 6.3% | 依存財源 |
| その他 | — | — | — |
いちばん多いのは市税ではなく、地方交付税だ。しかも市税48億円の2倍以上ある。
地方交付税とは、地域ごとの税収の差を国が調整するために配るお金で、税収が少ない自治体ほど手厚く配分される。
つまり交付税が多いということは、裏返せば市税だけでは行政が成り立たないということを意味している。
市はこれを「自主財源」と「依存財源」という切り口でも公表している。
自主財源は102億8,420万円で33.3%。依存財源は205億8,580万円で66.7%。
使えるお金の3分の2は、国や県から回ってきたものということになる。
図1: 令和7年度一般会計歳入の構成。大洲市「令和7年度予算の概要」をもとに作成
自主財源33.3%という数字をどう評価すべきか。比較対象として、都道府県ベースでの自主財源比率の全国平均は42.8%(2021年度)とされ、一般に50%を超えると財政的に健全と言われる。
ただし都道府県と市を直接比べるのは適切ではない。市町村は交付税に依存する構造がもともと強いからだ。
それでも33.3%という水準は、市が自分の判断だけで動かせるお金が限られていることを示している。
次は支出側だ。目的別に見た歳出の上位は、こうなっている。
| 科目 | 令和7年度 | 構成比 | 令和8年度(骨格) | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 民生費(福祉) | 96億6,186万円 | 31.3% | 95億3,283万7千円 | 34.2% |
| 総務費 | 55億5,550万円 | 18.0% | — | 17.3% |
| 公債費(借金返済) | 38億8,683万円 | 12.6% | — | 13.2% |
| 教育費 | — | — | 18億9,138万7千円 | 6.8% |
堂々の1位は民生費だ。「税金の使い道」と聞くと道路や施設を思い浮かべがちだが、実際には福祉が断トツで大きい。
民生費に含まれるのは、保育所の運営費や児童手当といった児童福祉、高齢者福祉施設の運営や介護保険・後期高齢者医療への市の負担分、障害福祉サービスの給付、生活保護費などだ。
年金の支給そのものは国(日本年金機構)の仕事なので、ここには入らない。
民生費96億6,186万円を人口37,365人で割ると、市民1人あたり約26万円。
4人家族なら年間100万円以上が福祉に回っている計算になる。
高齢化が進む地方都市では当然の構造だが、数字にすると重みが違って見える。
3位の公債費、つまり過去の借金の返済も見逃せない。38億8,683万円は、市税収入48億6,855万円の8割に相当する。
市民から集めた税金の8割に匹敵する額を、毎年、過去の借金の返済に充てている。この構造が、次の章で見る経常収支比率に直結してくる。
自治体の財政を測る指標は複数あって、それぞれ見ている場所が違う。 家計に置き換えると、ぐっと分かりやすくなる。
毎年決まって入る収入のうち、毎年決まって出ていく支出が何%か。家計で言えば「手取りのうち、家賃・光熱費・ローン返済など固定費が占める割合」。高いほど自由に使えるお金が少ない。
収入に対して、借金の元利返済がどれくらいの重さかを示す。家計で言えば「年収に対する年間のローン返済額の割合」。18%以上で国の許可が必要になり、25%以上で起債が制限される。
今ある借金や将来払う約束をした分の総額が、収入の何年分にあたるか。家計で言えば「年収に対する住宅ローン残高の倍率」。市の場合350%が早期健全化の基準になる。
必要な経費に対して、自前の税収でどれだけ賄えるかを示す。1.0を超えると交付税をもらわなくてもやっていける水準。地方の小規模市町村では0.3~0.5程度が一般的。
重要なのは、経常収支比率と、実質公債費比率・将来負担比率は、まったく別のものを測っているということだ。
前者は毎年のお金の流れ(フロー)の窮屈さを見ており、後者は借金という蓄積(ストック)の重さを見ている。
家計で言えば、「毎月カツカツかどうか」と「ローン残高が多すぎないか」の違いになる。毎月カツカツでもローンは少ない家もあれば、その逆もある。
もう1つ知っておきたいのは、この4つのうち、法律で「危険信号」として定められているのは実質公債費比率と将来負担比率のほうだということ。
2006年の北海道夕張市の財政破綻を受けて、国は自治体財政健全化法を作り、本当の危機を早期に発見するための指標を法定化した。
経常収支比率は、昔からある財政の弾力性を測る指標ではあるが、この法定の危険信号には入っていない。
愛媛県は、県内20市町の財政指標を「目で見て分かる市町財政」というページで横並びに公表している[2]。
令和6年度決算にもとづく最新のデータで、大洲市の位置を確認してみる。
図2: 愛媛県「目で見て分かる市町財政」(令和6年度決算)の各指標をもとに作成。位置は順位ではなく実際の数値に応じて配置した
経常収支比率99.7%は、20市町中19位。上に西予市(100.5%)しかいない。
その一方で、実質公債費比率8.3%は13位、将来負担比率35.4%は14位。
どちらも中位で、特別に悪いわけではない。ちなみに将来負担比率については、今治市・宇和島市・新居浜市・久万高原町・内子町・伊方町・愛南町の7市町が「比率なし」となっている。
これは将来負担すべき実質的な負債より充当できる財源のほうが多いという意味で、最も健全な状態を指す。
では、なぜ「毎年カツカツなのに、借金は重すぎない」という状態が生まれるのか。 ここがこの記事のいちばん考えたかったところだ。
経常収支比率の分子には、人件費・扶助費・公債費といった毎年決まって出ていく経費が入る。
公債費は確かにその一部だが、公債費だけが分子ではない。大洲市の場合、比率が上昇している主な要因は人件費と物件費の増加だと説明されている。
つまり、借金の返済が重いから窮屈なのではなく、人を雇い、施設を維持し、福祉を提供するための毎年の固定費そのものが、収入に対して重くなっているという構造だ。
分母の側も見る必要がある。経常収支比率の分母は、地方税や地方交付税といった毎年決まって入ってくる収入だ。
人口が減れば市税は減る。2005年から2025年の21年間で市の人口は26.3%減った[6]。
一方、支出の側は人口に比例しては減らない。道路の総延長も、学校や公民館の数も、川の長さも、人が減ったからといって短くはならないからだ。
分母が縮み、分子が縮まない——これが比率を押し上げる基本的なメカニズムになる。
借金の指標が中位に収まっている理由も説明がつく。実質公債費比率や将来負担比率は、交付税で後から措置される分を差し引いて計算する。
大洲市が発行してきた市債には、合併特例債や過疎対策事業債といった、返済額の相当部分を国が交付税で見てくれるタイプのものが含まれている。
額面の借金は大きくても、指標上の負担は圧縮される。これは制度の設計どおりの結果であって、ごまかしではない。
では額面の借金はいくらあるのか。大洲市監査委員による令和6年度の決算審査意見書によれば、 令和6年度末の地方債残高は約330億6,000万円 (一般会計が約329億9,886万円、特別会計が約6,175万円)で、 前年度末より約7,323万円増えている[7]。
これを人口37,365人で割ると、市民1人あたり約88万円。
4人家族なら約354万円ということになる。合併当初は300億円以上あった借金が一度は減ったものの、直近8年間で90億円増えたという経緯もある。
増加の主な要因は、平成30年7月豪雨の復旧復興工事と、学校施設の耐震化といった老朽化対応のための投資だとされている。
ここは評価が割れるところだと思う。災害復旧のための借金は、「無駄遣いで膨らんだ借金」とは性質が違う。
やらなければ生活が戻らない支出だ。同時に、借りた以上は返済が必要で、その返済額(公債費38億8,683万円)が経常収支比率を押し上げる要因の1つになっている。
2018年の豪雨は、被害という形だけでなく、こういう形でも市の財政に長期的な影響を残している。
借金を見たら、貯金も見なければ片手落ちになる。自治体の貯金にあたるのが基金で、 なかでも使い道を限定せず、災害や急な支出に備える「財政調整基金」が 家計で言う普通預金にあたる。
愛媛県の調べによれば、大洲市の令和6年度末の財政調整基金残高は約25億円。
一時期減っていたものが、以前の水準まで積み戻されている。一般会計の規模(308億円)からすると、約8%にあたる。
この数字の意味を測るために、隣の西予市を見ておきたい。西予市は経常収支比率100.5%で県内最下位、将来負担比率も77.0%で最下位という状態にある。
報道によれば、西予市の財政調整基金は8年間で48億3,000万円から2億8,000万円まで急減した。
その結果として、市長の給料を40%カットする条例が可決され(職員の給与削減条例のほうは市議会で否決された)、図書交流館やジオミュージアムの休館日が増え、市営プール2施設が段階的に休止された[8]。
大洲市の25億円という水準は、西予市の2億8,000万円と比べれば厚い。
ただし令和7年度の予算では、繰入金(基金の取り崩し)として22億2,596万円が歳入に計上されている。
年度中に積み戻される分もあるので単純比較はできないが、毎年これだけの規模で貯金を取り崩す前提の予算になっていることは、押さえておくべき事実だと思う。
ここまで見てきた構造のなかで、数少ない「自分で増やせるお金」がふるさと納税だ。 大洲市の実績は着実に伸びている[9]。
| 年度 | 件数 | 金額 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 13,974件 | 3億4,355万4,600円 |
| 令和6年度 | 15,464件 | 4億4,143万円 |
1年で件数が約1.1倍、金額が約1.3倍。金額の伸びのほうが大きいので、1件あたりの寄附額が上がっていることになる。
とはいえ、4億4,143万円という金額を市税48億6,855万円と並べると、その9%程度。一般会計308億円からすれば1.4%にすぎない。
それでも、ふるさと納税には規模以上の意味があると思う。寄附金は原則として「地域振興基金」に積み立てられ、使い道が9つの分野に分かれて公表されている。
令和5年度で最も多かったのは「肱川をはじめとする自然環境との共生に関する事業」で4,492件・1億1,047万3,100円。
実際の充当先には、平成30年7月豪雨で被災した肱川支所・公民館・図書館分館・保健センターを複合化した肱川地区複合公共施設の整備事業などが含まれている。
使い道が見える数少ない財源という点が、この4億円の本当の価値なのだと思う。
財政の話をお金だけで終わらせないために、市の総合計画の進捗も見ておきたい。
大洲市は「第2次大洲市総合計画後期基本計画」の進捗を、A(達成)・B(前進)・C(基準値と同等)・D(基準値より後退)の4段階で毎年公表している[4]。
令和6年度末時点で、D評価が並んでいる項目には次のようなものがある。
| 指標 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 目標 |
|---|---|---|---|---|
| 遊休農地面積(減らしたい) | 685ha | 685ha | 894ha | 減少 |
| 乾しいたけ生産量 | 48t | 45t | 34.6t | 75t |
| 刑法犯認知件数(減らしたい) | 107件 | 151件 | 173件 | 140件以下 |
| 職員の改善・改革提案件数 | 0件 | 0件 | 0件 | 年10件 |
なかでも「職員の改善・改革提案が3年連続で0件」という数字は、財政の議論と無関係ではないと思う。
経常収支比率を下げるには、収入を増やすか、毎年の固定費を減らすかしかない。
固定費を減らす具体的なアイデアは、現場の職員からしか出てこない類のものだ。
その提案制度が3年間まったく動いていないという事実は、99.7%という数字と地続きの話に見える。
一方で、公平を期すために書いておきたいことがある。これらの厳しい数字を、市が隠さずに毎年公表しているという事実だ。
D評価を並べた資料を自ら出すのは、それなりに勇気がいる。国内交流人口が令和4年度0人→令和5年度28人→令和6年度202人と持ち直したことや、誘致企業数が0社から3社に回復してA評価になったことも、同じ資料から分かる。
悪い数字だけを取り出して騒ぐのは、この透明性に対して不誠実だと思う。
財政の全体像を描くうえで、これから確実に来る支出も見ておく必要がある。 現時点で分かっているものを挙げる。
令和11年の開館を目指して進んでいる。ふるさと納税でも建設のための寄附受付が行われており、令和5年度は72件・172万円が基金に積み立てられている段階。
基本計画の入札が行われるなど、事業が動き始めている。財政負担の規模は今後の焦点の1つになる。
合併前後に各地区に整備された施設が、一斉に更新時期を迎える。全国の合併市町村に共通する構造的な課題として、以前から指摘されてきた。
加えて、制度面の背景も押さえておきたい。大洲市は過疎地域に指定されており、令和8年3月19日付けで新しい「大洲市過疎地域持続的発展計画(令和8年度~令和12年度)」が策定されている[10]。
過疎地域の指定は、過疎対策事業債という有利な借入ができる根拠になる一方で、人口減少・高齢化・財政力の弱さという3つの基準を国が認定した結果でもある。
「有利な借金ができる」ことと「厳しい状態だと国に認定されている」ことは、同じ事実の裏表になっている。
この記事を書くうえで、埋められなかった穴を正直に書いておきたい。
1つ目。令和6年度決算の歳入・歳出の詳細な内訳を、確実な形で読み取れなかった。
市は「令和6年度 大洲市の決算」というPDFを公開しているが、ファイルからテキストを正確に抽出することができず、数字と項目名の対応を確定できなかった。
そのため、この記事の予算の内訳は令和7年度・令和8年度の当初予算(計画値)にもとづいている。
決算(実績値)と当初予算は必ず差が出るので、この点は限界として明記しておく。
2つ目。財政調整基金の年度ごとの推移を、正確な系列として取得できなかった。
令和6年度末で約25億円という水準と、「一時減少したが積み戻された」という経緯までは確認できたが、何年にいくらだったかを並べることができなかった。
西予市のように「8年間で48億円から2億8,000万円へ」という推移が示せれば、危機の進み方がもっと具体的に描けたはずだ。
3つ目。経常収支比率が前年度から1.4ポイント上がった要因の、内訳が分からなかった。
人件費と物件費の増加が主因という説明までは確認できたが、それぞれが何ポイント分寄与したのかまでは追えなかった。
物件費が増えているのなら、それが物価上昇によるものなのか、委託業務の拡大によるものなのかで、意味はまったく違ってくる。
4つ目。大洲市の財政について、市民の間でどんな議論があるのかも見つけられなかった。
X(旧Twitter)などのSNSで目立った投稿や議論を探したが、無理に探してそれらしいものを並べるほどのものは見当たらなかった。
地方財政というテーマがSNS上ではほとんど話題になっていない、ということ自体が1つの発見かもしれない。
最後に、ここまでの数字から言えることを整理する。
①大洲市の財政は「借金で潰れかけている」状態ではない。 法律が危険信号として定めている実質公債費比率(8.3%)も将来負担比率(35.4%)も、 早期健全化基準からは大きく離れており、県内でも中位にある。 夕張市のような財政破綻を心配する段階ではない。
②ただし、毎年のやりくりは県内でも最も窮屈な部類にある。経常収支比率99.7%は20市町中19位。
新しいことを始めるための余白が、ほとんど残っていないことを意味する。全国平均93.8%と比べても高い。
③その窮屈さの主因は、借金の返済より人口減少にある。 分母である市税や交付税は人口とともに縮み、分子である人件費・物件費・ 施設の維持費は人口ほどには縮まない。この構造がある限り、 比率は放っておけば上がり続ける。
④使えるお金の3分の2は、国と県から来ている。自主財源33.3%という数字は、市の判断だけで動かせる部分が限られていることを示している。
ふるさと納税4億4,143万円は貴重な自主財源だが、一般会計308億円の1.4%であり、これで構造が変わるわけではない。
では、市民として何を見ていけばいいのか。経常収支比率が来年度以降さらに上がるのか、それとも下がるのか。
財政調整基金の残高がどう動くのか。文化会館と長浜港の事業費が公債費にどう跳ね返るのか。
この3つを毎年追いかけていけば、大洲市の財政がどちらに向かっているかは、専門家でなくても十分に分かる。
数字は公開されている。あとは、それを見続けるかどうかだけの話だ。
出典